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—— 契約前に確認すべき10項目

公開日:2026-08-24|最終更新:2026-08-30|執筆:近藤 大貴(精神科医/合同会社クリニカルウェブ代表社員)

見積りを3社から取ったものの、項目の名前も金額の桁もばらばらで、どう比べればいいのか分からない。開業準備中の先生から制作会社選びの相談を受けるたびに、この話を聞きます。私は精神科医として診療しながら、Web制作会社の代表もしています。作る側と頼む側の両方を見てきて言えるのは、制作会社選びの失敗のほとんどが「契約前に聞いておけば防げたこと」だという事実です。商談の席でそのまま使える確認項目を10個、実際の聞き方と危険なサインを添えてまとめました。

この記事の要点

確認すべき10項目

  1. ドメイン・サーバー・データの名義と帰属
  2. 初期費用と月額の内訳、最低契約期間
  3. 更新作業の範囲と回数、追加費用
  4. 医療広告ガイドラインの理解
  5. 同じ診療科の制作実績
  6. SEO・MEOの成果保証の有無
  7. 担当者の顔と医療知識
  8. 公開後の連絡手段と応答期限
  9. 写真と原稿の分担
  10. 表示速度とスマホ対応

結:見るべきは、答えの中身より答え方

一

ドメイン・サーバー・データの名義と帰属

確認すること:ドメイン(〇〇.com のような、サイトの住所にあたる文字列)の登録名義が院になるか。サーバー契約は誰の名義か。解約するとき、サイトの文章・写真・データ一式と、WordPressなら管理者権限を持ち出せるか。

ドメインには検索の評価や被リンクが年々積み上がります。診察券や他院への案内にも印字される、院の資産です。これが制作会社の名義だと、解約した瞬間にURLごと失います。「サイトが人質になって解約できない」という相談は、たいていここから始まっています。10項目のうち、どれか一つだけ確認するならこれです。

商談での聞き方

「ドメインは当院の名義で取得してもらえますか。解約した場合、ドメインとサイトのデータはそのまま持ち出せますか。それは契約書のどの条文で確認できますか」

危険なサイン

二

初期費用と月額の内訳、最低契約期間

確認すること:初期費用に何が含まれるか(ページ数、写真撮影、原稿執筆、スマホ対応)。月額費用の中身。最低契約期間の有無と、途中で解約した場合に支払う金額。

「初期費用0円」をうたい、月額と長期契約で回収する料金設計があります。それ自体が違法なわけではありませんが、総額と縛りを知らずに判を押すと、数年間動けなくなります。比べるべきは初期費用の安さより、契約期間全体の総額です。

初期費・月額の相場観と、見積書の各行の読み方はクリニックのホームページ制作費用——相場と見積書の読み方で詳しく解説しています。

商談での聞き方

「最低契約期間と、途中で解約した場合に支払う金額を教えてください」「月額に含まれる作業と含まれない作業を、書面で分けてもらえますか」

危険なサイン

三

更新作業の範囲と回数、追加費用

確認すること:月額に含まれる更新作業の回数と範囲。依頼してから反映されるまでの日数。範囲を超えた場合の単価。

クリニックのサイトは、開業後のほうが更新が多くなります。年末年始・連休・学会出席での臨時休診、診療時間の変更、スタッフの入れ替わり。1回ごとに課金される契約だと、月額が安く見えても運用費で逆転します。一番困るのは、休診案内が反映されないまま連休に入る事故です。

商談での聞き方

「明日からの臨時休診をお知らせに載せたい場合、いつまでに連絡すれば間に合いますか。費用はかかりますか」

危険なサイン

四

医療広告ガイドラインの理解

確認すること:医療機関のサイトには、医療法にもとづく広告規制(医療広告ガイドライン)が適用されます。治療の内容や効果に関する患者さんの体験談は広告に掲載できず、ビフォーアフター写真には厳しい条件があり、「最高」「絶対安全」のような表現も禁止。制作側がこの規制を把握しているか。

違反があったとき、行政指導の矢面にまず立つのは制作会社ではなく医療機関、つまり院の側です。医療法の広告規制は「何人も」を対象としており、制作会社も無関係ではありません。それでも、患者さんと行政に対して直接の責任を負うのは開設者である院です。一般業種の感覚で「お客様の声を載せて信頼感を出しましょう」と提案してくる会社は、残念ながら珍しくありません。精神科・心療内科では、受診の事実そのものが極めて秘匿性の高い情報ですから、体験談まわりの扱いには一層の慎重さが要ります。

商談での聞き方

「患者さんの体験談を載せたいと相談したら、どう答えますか」

ガイドラインを知っている会社なら「治療内容や効果に関する体験談は掲載できません」と説明が返ってきます。試金石になる質問です。

危険なサイン

一次資料:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html

五

同じ診療科の制作実績

確認すること:精神科・心療内科、少なくとも保険診療の医療機関の制作実績があるか。実物をURLで見られるか。

患者さんの探し方は診療科ごとに違います。精神科・心療内科は「眠れない」「気分が落ち込む」のような症状の言葉で検索され、受診を迷いながら夜に何度も見比べられる診療科です。デザインの華やかさより「ここなら安心して行けそうだ」と感じてもらえるかが問われる領域で、他業種や自由診療系の実績しかない会社は、トーンを外しがちです。制作実績はURLで確認するのが原則です。URLを出せない実績は、確認のしようがありません。

商談での聞き方

「精神科か心療内科の制作実績を、URLで見せてもらえますか。そのサイトの設計で工夫した点はどこですか」

危険なサイン

六

SEO・MEOの成果保証の有無

確認すること:「上位表示保証」「1位確約」を売り文句にしていないか。

Googleは公式ドキュメントで「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」と明言し、順位保証をうたう業者やGoogleとの「特別な関係」を強調する業者への注意を促しています。保証を売りにする会社は、守れない約束をしているか、発覚すれば評価を大きく下げる手法を使っているか、どちらかです。

商談での聞き方

「SEOとして具体的にどんな作業をしますか。順位はどのくらいの期間で上がりますか」

誠実な会社は、後半の質問に断定では答えません。

危険なサイン

一次資料:Google 検索セントラル「SEO 業者の利用を検討する」
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/do-i-need-seo?hl=ja

七

担当者の顔と医療知識

確認すること:契約後の窓口が誰になるか。営業担当と制作担当は別人か。その担当者に医療サイトの経験があるか。原稿は誰が書き、医学的な内容の確認はどう回すか。

契約前は詳しいベテランが出てきて、契約後は経験の浅い担当に替わる。業界の構造上、ありうる話です。医療の前提知識がない担当だと、専門用語の誤用や不適切な表現のチェックをすべて先生が背負うことになり、確認作業が診療の合間に食い込みます。商談に出てきた人が、契約後もいるとは限りません。契約前に窓口担当者と会えるかどうかで、その会社の体制はほぼ分かります。

商談での聞き方

「契約後に窓口となる方と、契約前に一度話をさせてもらえますか」

危険なサイン

八

公開後の連絡手段と応答期限

確認すること:連絡手段はメール・電話・チャットのどれか。通常の返信は何営業日以内か。サイトが表示されなくなった等の緊急時に、誰がどう動くか。

サイトは公開してからの付き合いのほうが長く続きます。表示が止まったとき、誤った診療情報が載ってしまったとき、対応の速さがそのまま患者さんへの影響の大きさになります。応答期限の約束がない契約は、実質、相手の善意頼みです。

商談での聞き方

「メールの返信は通常何営業日ですか。サイトが表示されなくなったときの連絡先と、対応してもらえる時間帯を教えてください」

危険なサイン

九

写真と原稿の分担

確認すること:写真撮影は費用に含まれるか。文章(原稿)はどちらが書くか。院側で用意するものがある場合、何をいつまでに出すのか。

見積りが安い会社の中には「原稿・写真はすべてお客様支給」が前提のところがあります。開業準備で一番忙しい時期に、全ページの文章書きが院長に降ってくる。原稿が出ないからサイトが完成せず、開業日に間に合わない。公開遅延の典型パターンです。写真も内装の完成後にしか撮れませんから、撮影を誰がいつやるかはスケジュールに直結します。安い見積りの正体が「原稿・写真は全部先生持ち」なら、その差額は先生の時間で支払うことになります。

商談での聞き方

「原稿と写真はどちらが用意しますか。こちらで用意するものの一覧を、締切つきでもらえますか」

危険なサイン

十

表示速度とスマホ対応

確認すること:その会社の実績サイトを自分のスマホで開き、表示の速さと読みやすさを自分の指で確かめる。GoogleのPageSpeed Insights(無料)にURLを入れれば、速度の目安が数値でも出ます。

受診を考える方の検索はスマホが中心です。夜中に布団の中で、電波の弱い環境から開かれることも多い。開くのに何秒も待たされるサイトは、内容を読まれる前に閉じられます。

商談での聞き方

「実績のサイトを、いまこの場で私のスマホから見せてください」

危険なサイン

参考ツール:Google PageSpeed Insights
https://pagespeed.web.dev/

結

見るべきは、答えの中身より答え方

10項目すべてに満点で答える会社を探しましょう、という話ではありません。予算にも事情にも幅があります。見るべきは、質問への答え方です。できないことを「できません」と言えるか。金額と条件を書面に残せるか。口約束を渋る会社は、契約後も口約束のままです。

商談の最後に、こう聞いてみてください。「今日伺った条件は、契約書のどこで確認できますか」。この一問で、だいたいのことが分かります。

執筆:近藤 大貴

精神科医/合同会社クリニカルウェブ代表社員

精神科・心療内科クリニック専門のホームページ制作会社、合同会社クリニカルウェブの代表。三宮駅前こころのクリニック副院長として診療にもあたる。→ 会社概要・代表プロフィール

この10項目への、当社の答え。

ドメインは院の名義で取得すること。長期契約の縛りを設けないこと。順位の保証はしないこと。当社の答えはサービスページと会社概要にすべて書いてあります。制作会社を比べる際の答え合わせのひとつにどうぞ。現状のサイトや検索での見え方を無料でお調べすることもできます。

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