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精神科クリニック開業時のホームページ、症状ページは何から作る?
—— 自院14ページの設計・運用経験から

公開日:2026-10-11|最終更新:2026-10-11|執筆:近藤 大貴(精神科医/合同会社クリニカルウェブ代表社員)

「症状のページは、何本くらい作ればいいですか」。開業準備中の先生からよくいただく質問のひとつです。制作会社としては「多いほどよい」と答えたほうが商売になるのですが、正直に言うと、本数の前に決めることがあります。私は精神科医として三宮駅前こころのクリニックで診療しながら、同院のホームページを開業前に設計し、開業後も運用しています。症状・疾患のページは14本。この14本をどういう基準で選び、何を書き、開業後に何を直したかを、そのままお見せします。

この記事の要点

目次

  1. 開業時の症状ページは、診療方針と受け入れ体制から決める
  2. 病名別と症状別をどう分けるか——患者さんの入口と内容の重複を考える
  3. 自院14ページの設計と運用——実際に決めたこと、見直したこと
  4. 開業までに用意するページと、開業後に追加するページの決め方
  5. 症状の説明から初診案内・予約へ、地域情報も含めてどうつなぐか
  6. 制作を依頼するときに決めること——院長と制作会社の役割分担

結:症状ページの本数は、診療方針の答え合わせでしかない

一

開業時の症状ページは、診療方針と受け入れ体制から決める

症状ページの企画は、検索語の一覧から始めたくなります。「うつ病 神戸」「不眠 心療内科」と並べて、上から順に作る。私も最初はそうしかけました。ただ、この順番で作ると、ページの内容が自院の診療と合わなくなります。

先に決めるのは、次の3つです。

  1. 対象年齢。何歳から診るのか。小児・思春期を診るなら、症状ページの書き方は家族向けの記述が要ります。
  2. 対応する相談と、対応が難しい相談。労災保険での受診、入院が必要な状態、依存症の専門プログラム、認知症の画像検査。こうした「当院ではできないこと」を、開業前に医師自身が言葉にしておきます。
  3. 診療体制。医師は何人で、曜日はどう分けるか。心理士はいるか、心理検査は何をどの曜日にやるか、費用はいくらか。

自院の場合、この3つは初診案内のページに「当院で対応が難しいご相談」という見出しでそのまま載せています。原則として16歳以上を対象とし、16歳未満は院長の担当日に限って診ていること、労災保険の指定医療機関ではないこと、入院設備がないこと、依存症の専門プログラムや認知症の画像検査を行っていないこと。症状ページは、この範囲の内側で書きます。範囲の外にある相談を集めるページを作っても、来院された方に「当院では難しいです」と伝えることになり、お互いに損をします。

体制がページの内容を決める例をひとつ挙げます。自院には公認心理師・臨床心理士がいて、WAIS-IVなどの知能検査を自費(22,000円)で実施しています。だからADHDやASDのページでは、心理検査に触れることができます。逆に、当院で処方していない薬(中枢神経刺激薬の一部)については、処方していない旨をページに書きました。できることとできないことを先に書いたほうが、受診後の行き違いが減ります。これは開業後に実感したことです。

体制にない検査や治療を、自院で受けられるかのように書けば、事実と異なる記載として、医療広告ガイドラインのいう虚偽広告・誇大広告にあたるおそれがあります。方針と体制を先に固めれば、書けることは自然に決まります。

二

病名別と症状別をどう分けるか——患者さんの入口と内容の重複を考える

患者さんがサイトにたどり着く入口は、大きく2つあります。病名を知っていて検索する人(「適応障害 症状」「パニック障害 治療」)と、病名は分からず症状の言葉で検索する人(「朝 起きられない 仕事」「動悸 息苦しい 病院」)。

自院で選んだ形は、病名別ページを軸にして、症状の言葉で引く入口ページを1本添える構成です。病名・特性別が14本、入口ページが「よくある症状」の1本。入口ページには「気分が落ち込む」「眠れない」「動悸・息苦しい」「電車・バスが不安」など18の症状を患者さんの言葉で並べ、それぞれから該当しうる病名ページへ振り分けています。

症状ごとに独立した解説ページを作らなかったのには理由があります。「眠れない」の解説ページを書けば、内容は「不眠症」のページとほぼ重なります。「動悸・息苦しい」を書けば、パニック障害と自律神経失調症のページと重なる。同じ内容のページが2本あると、検索エンジンがどちらを結果に出すか定まらず、どちらも中途半端な評価になりがちです。自院では新しい記事を企画するたびに、既存ページと検索意図が重なっていないかを最初に確認しています。

ただし、分けたページもあります。ADHDです。自院には「注意欠如・多動症(ADHD)」と「大人のADHD」の2本があります。病名は同じですが、入口が違います。前者は年齢を問わない総合的な解説で、お子さんの保護者の方も読む前提。後者は、仕事のミスや忘れ物から「自分はADHDかもしれない」と気づいた大人の方が、受診先を探す場面を想定しています。役割を文章で決めたのは開業後の見直し時で、それまでは内容がかなり重なっていました。分けるなら役割を決める、決められないならまとめる。これが自院で落ち着いた基準です。

まとめた例もあります。「うつ病と適応障害の違い」は、患者さんの関心が高いテーマですが、独立ページにはせず、うつ病ページと適応障害ページのそれぞれに一節として置きました。両方の幹ページが育ってから、あらためて独立した記事を追加しています。順番としては「幹に一節を置く→幹が育ったら枝として独立させる」です。最初から枝を作ると、幹が痩せます。

症状の言葉で始まる記事(「朝、仕事に行けない・涙が出るとき」など)は開業後に追加しました。開業前に要るのは、病名別の幹と、症状の言葉から幹へ振り分ける入口の1本です。

三

自院14ページの設計と運用——実際に決めたこと、見直したこと

自院(三宮駅前こころのクリニック)の症状・疾患ページは次の14本です。開業(2025年12月15日)の約4か月前、2025年8月から10月にかけて用意しました。

気分の不調うつ病/双極性障害(躁うつ病)/適応障害
不安・強迫パニック障害/社交不安障害(あがり症)/強迫性障害
睡眠・身体不眠症/自律神経失調症/PMS・PMDD
発達特性注意欠如・多動症(ADHD)/大人のADHD/自閉スペクトラム症(ASD)
その他統合失調症/HSP

症状ページは何本必要か

決まった正解はありません。本数は、その院が診る主訴を書き出した結果として決まります。自院(三宮駅前こころのクリニック)は開業前に14本を用意しましたが、これは自院の診療方針から出た数で、推奨本数ではありません。診療方針が違えば本数も顔ぶれも変わります。開業前に必要なのは主訴の中心にあたる病名ページで、残りは開業後に足しても困りません(四章)。

ページの型

病名別ページは、おおむね同じ順番で組んでいます。主な症状 → 考えられる原因 → 似た病気との違い → 治療法 → 初めての受診の流れ → よくある質問 → 監修者 → 予約案内。うつ病のページを例にすると、「うつ病と適応障害の違い」と「初めての受診の流れ」の2節は、開業後の見直しで足したものです。前者は患者さんの迷いに答えるため、後者はページを読み終えた方が次に何をすればよいか分かるようにするためです。

実装として決めたこと(事実)

開業後の見直し(事実)

開業から約7か月後の2026年7月、14本すべてを一括で書き直しました。直した主な点は次のとおりです。

観察していること(観察結果であり、効果の証明ではありません)

HSPのページは、検索結果に表示される回数がサイト内でも多い部類に入ります。ただし、そこからの受診は診療対象と噛み合いにくいので、ページは残しつつ、サイト内からHSPページへの誘導は増やしていません。表示回数が多いページが、そのまま「作るべきページ」とは限らない例です。

また、この記事のために自院のページを見直したところ、入口ページから14本すべてに導線が通っているわけではないことが分かりました。開業から9か月運用していても、こうした抜けは残ります。リンクの機械点検を定期的に回していないと気づけません。

書けないこと

改稿後に検索順位や予約数がどう動いたかは、ここでは書きません。改稿から日が浅く、季節要因や他の施策と切り分けられていないためです。「症状ページを増やしたら予約が増えた」と言える段階にはありませんし、そう断言する記事は、測定期間や他の施策との切り分けが示されているかを確かめてから読むのがよいと思います。

四

開業までに用意するページと、開業後に追加するページの決め方

「開業日までに全部そろえる」を前提に置かないでください。自院は14本を開業前に作りましたが、振り返ると、開業前に必要だったのは主訴の中心にあたる数本で、残りは開業後に順次でも困らなかった、というのが率直な感想です(これは事後の推測で、比較実験をしたわけではありません)。

優先順位は、次の3つで決めます。

  1. 診療範囲の中心。自院の場合、うつ病・適応障害・不眠・不安系(パニック・社交不安)が主訴の中心で、休職や診断書の相談がそれに続きます。中心にあたる病名ページは開業前に必要です。
  2. 原稿確認の負担。症状ページは医学的な内容を含むため、原稿を医師が確認する工程を省けません。開業前の数か月は内装・機器・採用・届出で埋まります。医師が確認できる本数には上限があり、その上限が開業前に作れる本数の上限です。
  3. 公開期限。開業日にサイトがない状態は避けたいので、期限に間に合わない分は切ります。切った分は開業後の枠に回します。

開業後の追加は、自院では「月4枠=新規記事2・既存ページの強化1・整備(内部リンク・監修表記・サイトマップ等)1」の型で回しています。新規ばかり増やさないのは、主要テーマの多くはすでにページがあり、新記事を立てると既存と検索意図が重なるからです。自院では、内容の重複を避けるため既存ページの強化を優先しています。

自院では「完成」を本数で数えません。患者さんが調べる意図(症状の理解・受診の目安・手続き・費用)を幹と枝でカバーし、幹と枝が双方向につながり、孤立したページがない。この状態を、そのテーマの完成と呼んでいます。

なお、症状ページ以外に開業時にそろえる基本ページ(診療案内・はじめての方へ・院長紹介・アクセス・予約導線・よくある質問)については、開業のホームページ準備ガイドにまとめています。

五

症状の説明から初診案内・予約へ、地域情報も含めてどうつなぐか

症状ページを読み終えた方が確認したいことは、3つに絞れます。相談できるか(自分の状態はこの院の対象か)、通えるか(場所・曜日・時間)、どう予約するか。この3つに、症状ページの中か、1クリック先で答えられる構成にします。

自院(三宮駅前こころのクリニック)の組み方は次のとおりです。

相談できるか各病名ページに「初めての受診の流れ」の節を置き、初診案内ページへリンクします。初診案内には「当院で対応が難しいご相談」の見出しがあり、労災・入院・認知症検査・依存症プログラムについて先に書いてあります。16歳未満の方は院長の担当日に限って診ている旨も、同じページに書いてあります。「自分が当てはまるか分からなければ、そのまま予約して診察時に確認してよい」とも添えています。
通えるか各ページの末尾に、住所・最寄駅からの徒歩分数・診療時間(土日祝も診療)を固定で表示します。初診案内ページにもアクセスの節を置いています。
どう予約するかWEB予約のボタンを各ページの末尾に置き、初診案内ページで「予約→WEB問診→来院→診察」の流れを説明します。

地域情報については、はっきり書いておきます。地域名だけを差し替えたページを量産する手法は、自院では採っていませんし、当社でもお勧めしません。地域は「通えるか」への答えとして、アクセス欄と初診案内に置けば足ります。症状ページの本文に地域名を繰り返し入れる必要もありません。

予約導線で最近決めたことがひとつあります。標準ルートの説明では電話番号を前面に出さず、WEB予約を主役にしました。WEB予約なら予約情報が正確に残り、来院前のWEB問診も取れるためです。電話番号はアクセス欄・対応が難しい相談の注記・ページ最下部に残しています。電話でしか予約できない方の選択肢は残したまま、位置を下げる形です。

AI検索(LLMO)のために症状ページを増やすべきか

AI検索への対応(いわゆるLLMO)について補足します。Googleは検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」で、AIによる概要やAIモードに表示されるために「追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と説明し、通常のSEOのベストプラクティスがそのまま有効だとしています。自院でも診療時間や対応する相談を機械にも読める形で書いてはいますが、症状ページを新設したからAIに引用される、引用されたから患者さんが増える、という因果は確認していません。AI対応を理由に症状ページの本数を増やす提案には、根拠を聞いてよいと思います。

六

制作を依頼するときに決めること——院長と制作会社の役割分担

症状ページの制作で、先生の側と制作会社の側が何をするか。ここが曖昧だと、原稿が止まるか、医学的に怪しい文章が公開されるかのどちらかになります。当社で標準にしている分担は次のとおりです。

工程 先生 当社
診療方針・受け入れ体制の確認 診る相談・診ない相談、体制、費用を話す 医師が聞き取り、ページ構成に落とす
ページ構成の決定 案を見て、追加・削除を判断 検索語と診療方針から構成案を作る
原稿作成 事実(体制・費用・薬の方針)の確認 執筆。医療広告ガイドラインの照合
確認作業 医学的な内容と、自院の事実の最終確認 修正反映、公開前の再照合
公開後の更新 体制変更(曜日・料金・スタッフ)を連絡 反映。月次で検索データを見て追加・修正

当社が担える範囲を具体的に書きます。最初のヒアリングは、現役の精神科医である代表が行います。用語の説明なしで診療方針を詰めるためです。原稿は当社で執筆し、先生には確認だけをお願いします。医療広告ガイドラインの照合は原稿の段階と公開前の2回かけます。写真は院からご提供いただく形で、出張撮影は行っていません。公開後の追加ページ、月次の検索データ確認と改善は月額プランの範囲で行います。プランごとのページ数の目安と料金は、サービス・料金のページに明示しています。工程の全体像は制作の進め方をご覧ください。

逆に、当社にできないことも書きます。「必ず集患できる」「検索一位」は約束しません。表示順位は検索エンジンやAIが決めるもので、当社が決められるのは土台の作り方だけです。

依頼前に決めておいていただきたいのは、一章の3つ(対象年齢・対応する相談と難しい相談・診療体制)です。決まっていれば、症状ページの顔ぶれは初回の打ち合わせでほぼ決まります。決まっていなければ、質問しながら一緒に決めます。

結

症状ページの本数は、診療方針の答え合わせでしかない

症状ページは、検索の入口であると同時に、その院が何を診るかの宣言でもあります。だから本数は、診療方針を書き出した結果として決まるもので、目標として先に置くものではありません。自院の14本も、そういう答え合わせの結果です。

開業前に全部をそろえる必要はありません。主訴の中心を先に、残りは開業後の枠で。そして開業後は、増やすことより、書いたものを直し、つなぐことに時間を使ってください。自院の経験では、そちらのほうが手応えがあります。

費用の考え方はクリニックのホームページ制作費用——相場と見積書の読み方、制作会社との契約前の確認事項はホームページ制作会社の選び方——契約前に確認すべき10項目にまとめています。あわせてお読みください。

※ 本記事の自院に関する記述は、三宮駅前こころのクリニックの公開ページと、当社が同院のサイト制作・運用で記録してきた事実にもとづきます。患者さんの数や個別の症例には一切触れていません。検索順位や予約数への効果は検証途中のため記載していません。
参照:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」 https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features?hl=ja(2026年9月11日閲覧)

執筆:近藤 大貴

精神科医/合同会社クリニカルウェブ代表社員

精神科・心療内科クリニック専門のホームページ制作会社、合同会社クリニカルウェブの代表。三宮駅前こころのクリニック副院長として診療にもあたる。→ 会社概要・代表プロフィール

開業予定時期と診療方針から、ページ構成を一緒に決めます。

開業予定の時期、診る相談と診ない相談、医師と心理士の体制。この3つをお聞かせいただければ、開業前に作るページと開業後に足すページの案を、現役の精神科医がお返しします。現状のサイトや検索での見え方の無料診断もあわせてご利用ください。

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